むかしむかし、あるところにキャリアちゃんという子がいました。
キャリアちゃんはとっても美しい声の持ち主です。
どれぐらい美しいかというと、それはもうサイン波です。
キャリアちゃんのお家のとなりはモジュラくんの家です。
モジュラくんはいぢめっ子です。
ある日、キャリアちゃんがいつもの美声で歌っていると
モジュラくんがいぢめにきました。
ちょっかいを出されたキャリアちゃんの声は
美しいサイン波を保っていられません。
そこへおじいさんがやってきました。
おじいさんはモジュラちゃんにちょっかいを出されている
キャリアちゃんの声を聴いて
「これはこれでいい声だなぁ」と思いました。
キャリアちゃんとモジュラくんはおじいさんにほめられて大喜びです。
やがて二人は町でオシレータ夫婦と呼ばれ、人気者になりました。
そして二人はいつまでもなかよく
時には一人で、時には二人でじゃれあいながら、いつまでも歌いつづけました。
めでたしめでたし。

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コレがFM音源の原理なのだ。
もともとサイン波があって、これをキャリアと呼ぶワケだ。
んでもってこのキャリアに倍音を足すのがモジュレータだ。
両方の総称はオシレータだな。
モジュレータの数は1つとはかぎらないし、
モジュレータをいぢめるモジュレータなんてのもあったりする。
この組み合わせをYAMAHAではアルゴリズムなんて呼んでたり。
キャリアやモジュレータの波形も
ホントはサイン波ぢゃなくてもよかったりする。
ま、ほんの触り程度だけどFM音源の基本はこれなのだ。
そこで、続きのおはなし。

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何年も何年もたちました。
キャリアちゃんもモジュラくんも
すっかりおじいさんおばあさんになりました。
キャリアちゃんはモジュラくんより先に死んでしまいました。
モジュラくんはキャリアちゃんとじゃれあうコトができません。
キャリアちゃんは必死にモジュラくんに呼びかけます。
でもその声はモジュラくんには届きません。
モジュラくんは寂しくて泣いています。
町の人達はモジュラくんをあわれみ、キャリアちゃんのために祈りました。
そのモジュラくんの声はいまでも
町の人達の耳に残っています。

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ってコトでコレがFM放送だな。
キャリアを人間の可聴音域より高い周波数に設定すると
モジュレータの倍音だけが聞こえるってコト。
そんなワケでFM放送は80MHzあたりに周波数帯が
集中してるのだ。（もちろんそういう電波規制もあるけど）
ちなみにAM放送はこの原理でゆっちゃうと
キャリアだけが一生懸命がんばってるってカンジかな。
FMがFrequency Modulation（＝周波数変調）に対して
Amplifer Modulation（＝音量変調）ってコトなのだ。
それをつきつめるとサンプラーになる。
音の3要素「音程」「音量」「音色」は全て「音量」でまかなえるのだ。
すんげぇ細かくスピーカの振動（つまり音量）をチェックすれば
音程も音量も波形も全部カバーできる。
この「すんげぇ細かく」ってのがたとえば44.1kHzってなワケだ。
1秒間に44100回音量をチェックしてるってコト。
その音量を65536段階（=16bit）で表現するのが44.1kHz16bitのサンプラーだ。

さてでは、キャリアを人間の可聴音域より低く設定したらどうなる？
人間の可聴音域の下限は約20Hz。1秒間に20回の振動。
これを下回ると周期が遅すぎて
人間には「音」ぢゃなくて「振動」って感じるのだ。
んでもってモジュレータのほうの音はちゃんと聞こえるトコに
設定すればそのモジュレータの音は聞こえる。
キャリアがモジュレータに刺激されて音を出す、
つまりキャリアのほうがスピーカに近い。
と、いうコトはモジュレータの音はキャリアの振動がやっぱり関係してくる。
たとえばキャリアが10Hzに設定されててモジュレータが440Hzに設定されてると、
スピーカは1秒間に10回の周期で振幅しつつ440Hzの音を出すってコトになる。
これはトレモロ効果なのだ。
トレモロってのは音量にLFOがかかってるヤツね。ビブラフォンとか。
で、なんのコトはないLFOってのはLow Freqency Oscillator（＝低周波発信器）なのだ。
これでだいぶシンセのパラメータとつながったかな？
長文書いて疲れちゃったよ笑

フィルタ系の音色ネタについては誰かが書くかもしれんし、
まぁ今回はとりあえずFMネタにしてみた。
こんな説明でわかるかなぁ？
わからんかったら質問してくれぃ。